2024.06.20

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建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録申請と能力評価申請のワンストップ化

建設技能者能力評価制度推進協議会が建設業界全体で、建設キャリアップシステム登録技能者の能力評価制度や専門工事企業の施工能力等の見える化評価制度の普及促進策などを議論するため下部組織として企画分科会を新設し、2024.6.12に非公開で会合を開いた。そこで建設キャリアアップシステムの登録申請と能力評価申請のワンストップ化についても情報が公開されましたので今回は、建設キャリアアップシステムの登録申請と能力評価申請のワンストップ化について解説をしていきたいと思います。

◇このコラムを読んでもらいたい方

・建設キャリアアップシステム登録技能者能力評価制度に興味がある方

・2024年度以降に建設キャリアアップシステムへの登録を考えている方

◇このコラムでわかる事

・建設キャリアアップシステム能力評価制度の現状

・登録申請と能力評価申請がワンストップ後の変化

建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録者数

建設キャリアアップシステムは2019年4月から本格運用を開始し、5年と2か月が経過した2024.5.31現在、登録事業者数約26.5万社うち一人親方約8.9万人、登録技能者数約144万人となり建設業界の技能者の2人に1人が登録・利用をしているシステムとなりました。登録推移は事業者で毎月約3,500社、技能者で毎月約2万人の登録が増加していますので、2024年末には150万人の大台を突破するのは確実だと思います。登録数が伸びているのは理解しできるが、現場での運用がしっかり行われているのかも気になりますよね?新規登録現場数は2023年度末までは一定推移で落ち着いていましたが、2024年に入ってから都道府県等の公共工事での導入が進んでいる事もあり新規登録現場数が2023年度比で毎月約2倍程度に伸びCCUSの現場利用が活発化しています。

出典:建設キャリアアップシステムの運営状況について(2024年6月) |建設業振興基金

建設キャリアアップシステム登録技能者の能力評価制度

建設キャリアアップシステムの一番目玉となる機能が登録技能者の能力評価制度です。能力評価制度について理解していない方もいると思いますので軽く概要をおさらいしておきましょう。登録技能者の能力評価は建設キャリアアップシステムに登録が行われている、現場就業日数や職長経験日数、保有資格(講習・研修、表彰等)情報を基にして技能者の任意にて技能レベルの評価を受ける事が可能です。技能レベルは4段階で構成されレベル1は初級技能者(見習いの技能者)、レベル2は中堅技能者(一人前の技能者)、レベル3は職長として現場に従事できる技能者、レベル4は高度なマネジメント能力を有する技能者(登録基幹技能者)として4つのレベルで評価が行われます。能力評価を受ける事が出来るのは技能者は建設キャリアアップシステムへ資格証等の登録が行える詳細型で登録申請を行っている技能者が対象となります。能力評価を受ける事が可能な分野(職種)は2024.2月現在42分野の職種で能力評価を受ける事が可能であり、この42分野で建設キャリアップシステム登録技能者の9割の方が能力評価を受けるる事が出来る基盤が整備されています。残り1割の分野・工種の方は残念ながら現段階では能力評価を受ける事が叶いません。

出典:建築大工の能力評価制度|一般社団法人JBN・全国工務店協会

建設キャリアアップシステム技能者の能力評価判定件数

ではどの程度の人が建設キャリアアップシステムの登録技能者として能力評価を受けているか数字で見てみましょう。

引用:【CCUSポータル】 能力評価制度について|国土交通省

見て頂いた通りの結果ですが、90%以上の方が能力評価制度の利用を行っていません。理由としては、技能者の賃金・待遇を改善するためのシステムである建設キャリアアップシステムですが、普及促進を行っている元請であるゼネコンや1次の協力会社が立場を利用したパワープレーで現場入場時に登録を促し建設キャリアアップシステムについての説明が不十分な状態で登録が行われているからだと思います。そのことから技能者さん特に2次以下の協力会社においては建設キャリアアップシステムが何のためのシステムか理解していないことが多く、能力評価制度についても理解が及んでいない状態であると私個人としては考えています。この状況は建設業界に限った話ではありませんが元請や上位会社の立場が如何に強く、下位の業者が自身に有益な情報をキャッチアップできていないことかがわかります。建設キャリアアップシステムは技能者の賃金と待遇を適正基準に改善するシステムです。今、情報を主体的に掴みにいかない協力会社が多いという事は逆に考えれば能力評価を受け最高レベルの4の技能者がたった4%の方しかいないため、非常にレアな技能者になれるという事です。そのため、今がライバルに差をつけるチャンスだとも感じています。大手ゼネコンではCCUSの能力評価等を反映した手当支給を一部で行っており請負金額とは別に支給しております。一部の好例をご共有するとレベル4(金):3,500円/日、レベル3(銀):3,000円/日、レベル2(青):2,000円/日を支給しているゼネコンもあります。今後の日本では少子高齢化等で担い手が不足しているため技能者を集めるのが非常に困難になるため、請負金額の適正化はもちろん、技能者の方に魅力的なインセンティブを付与する動きは、今後加速する事が予測されますのでご自身が持つ技術を客観的に証明してくれる建設キャリアアップシステムと能力評価制度を早い段階で有効活用して頂きければ思います。

出典:CCUSの能力評価に応じた手当支給の取組例|国土交通省

建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録と能力評価申請手続きの現状

建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録と能力評価申請手続きの現状の流れを見ていきます。

①建設キャリアアップシステムへの技能者(詳細型)登録・申請手続き

②技能者登録料の払込用紙の発送・登録料のお支払い、登録料の入金確認

③建設キャリアップシステムにて登録申請内容の審査(約3~4週間)

④建設キャリアップシステムの審査完了・建設キャリアアップカードの発送・受取

⑤能力評価を受けたい分類(工種)の選定

⑥能力評価団体へ申請手続き・審査手数料の払込(申請方式により支払のタイミング異なります。)

⑦能力評価団体にて申請手続き内容の審査(約1~4週間・評価団体により審査期間が異なる)

➇能力評価団体の審査完了・能力レベル評価向上

⑨能力評価団体から建設キャリアアップシステムへ情報提供(約1週間)

⑩建設キャリアップシステムより新規建設キャリアアップカードの発送(約1週間)

上記の流れにて建設キャリアアップシステムと能力評価団体2か所への登録申請手続きと審査を経て技能レベルの向上を行います。建設キャリアアップシステムへの登録が完了していない方が能力評価を受け技能レベルを向上させるためには概ね3~4か月程度の期間がかかるのがわかります。時間がない技能者さんからすると、1か所の申請手続きでも煩わしいのに2か所へ約4か月もの時間をかけて申請手続きを行うのは非常に手間です。このような煩雑な申請手続き方法や申請・審査期間により能力評価を受けないという技能者の方も一定いるのではないかと感じています。

建設キャリアアップシステムへの登録申請と能力評価申請がワンストップに。

そんな煩雑であった建設キャリアアップシステムの登録申請手続きと能力評価団体への申請手続き作業が建設キャリアップシステムへの申請手続き1つで技能者の能力評価が行えるようにワンストップ化することが2024年6月12日に行われた建設技能者能力評価制度推進協議会の下部組織である企画分科会で決まりました。これにより申請手続きが滑らかになり技能者は大幅な事務手続きの削減が可能になります。(※技能者の能力評価申請を同時に行うかは、申請者にて選択が可能です。)では建設キャリアアップシステム登録申請と能力評価団体への申請手続きのワンストップ化の機能は何時リリースされるのか?現在、建設キャリアアップシステムを運営する建設業振興基金がシステムを改修中で2024年度内にリリースを行う予定との事です。建設業振興基金には開発を頑張って頂き1日も早くリリースさせてほしいですね。今からワンストップ申請手続きのリリースが待ち遠しいですね。それでは申請手続きのワンストップ化で、どのような利点があるのか?次項で見ていきましょう。

建設キャリアアップシステム登録申請と能力評価申請がワンストップ後の流れ

では、建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録と能力評価申請手続きのワンストップ化した流れを見ていきます。

①建設キャリアアップシステムへの技能者(詳細型)登録・能力評価申請手続き

②技能者登録料の払込用紙の発送・登録料のお支払い、登録料の入金確認

③建設キャリアップシステムにて登録申請内容の審査(約3~4週間)

④建設キャリアップシステムの審査完了・能力評価団へ情報提供

⑤能力評価団体にて申請手続き内容の審査(約1~4週間・評価団体により審査期間が異なる)

⑥能力評価団体の審査完了・能力レベル評価向上

⑦建設キャリアップシステムより新規建設キャリアアップカードの発送(約1週間)

ここでのポイントは従来だと能力評価団体ごとに申請手続き方法が異なり分類(工種)ごとに電子申請や郵送申請に分かれていたり、レベル判定手数料の支払いタイミングもバラバラであったため非常に煩雑でしたがワンストップ化によりすべての能力評価団体でインターネット申請が可能になります。これにより申請手続きを2度行う必要や申請手続きや支払が一元化されるため無駄な事務手続きが削減され技能者の方がより生産性のある現場業務に集中が出来る様になります。

建設キャリアアップシステムの審査期間の長期化リスク

しかし建設キャリアアップシステムへの登録申請と能力評価申請のワインストップ化には一定のリスクも伴います。建設キャリアアップシステムの登録申請だけでも資料収集から建設キャリアアップカード取得までで約1.5~2か月程度の時間がかかるのに、能力評価申請まで同時に行うと約2~3か月の時間がかかることが予測されます。現場入場を行う際にゼネコン等の元請会社や上位の会社から建設キャリアップシステムの登録を求められた協力会社または技能者は現場入場するまでに建設キャリアアップシステムの登録申請+能力評価申請を済ませる時間を確保する事ができるのか?現実問題として非常に難しいのではないかと感じています。あくまでも能力評価申請は任意での申込になあります。ワンストップ化の仕組みが出来あがり嬉しいのですが、建設キャリアアップシステムへの登録申請のみを行う協力会社や技能者が主流になるのが実態だと私個人は考えています。しかし建設キャリアアップシステムへの登録申請と能力評価のワンストップ化は確実に事務手続きを簡素化できる仕組むであるため、ゼネコン等に依頼されてから建設キャリアアップシステムを急いで登録をするのではなく、自身のタイミングで早めに登録申請をして頂ければ当該機能を有効活用出来ると思います。

建設キャリアアップシステム・レベル判定の料金

ワンストップ化で料金が安くなったのか?その点も気になりますよね。少しだけ削減されています。従来の建設キャリアップシステムの新規登録申請+能力評価申請と比較すると1,000円引き下がりました。では支出としてはいくらの負担が必要かというと、建設キャリアアップシステム新規技能者登録(詳細型)4,900円(税込)+能力評価レベル判定手数料3,000円(税込)の7,900円(詳細型)の負担が必要になります。従来だとここに能力評価レベル判定後の建設キャリアアップカード再発行の手数料として1,000円(税込)の負担が必要でした。大きな金額の削減にはありませんでしたが、1,000円でも支出が抑えられるのは負担する側からすれば有難い事です。

既に建設キャリアアップシステムに登録が行われている技能者の能力評価はどうなる?

最後に、一番気になるのは、既に建設キャリアアップシステムに登録が済んでいる登録技能者の能力評価はどの様になるのか?残念ながら、登録が既に済んでいる技能者に関しては従来通り個人的に能力評価団体宛に申請手続きを行って頂く必要があります。建設キャリアアップシステムを最初から盛り上げてくれた方々に報いる事が出来ず、後から登録を行う方がより良い待遇を受ける事が出来る事には思うところはありますが、それは建設キャリアアップシステムが普及したことより、利用者の声を聴き、より多くの人の役に立てるまで成長したという事でもあると思います。まだまだ進化が止まらない建設キャリアアップシステム、次はどの様な進化を遂げ、現場の最前線で日々働く技能者様に魅力的なコンテンツや機能を提供していくのか?まだまだ目が離せません。

建設キャリアアップシステム(CCUS)代行サービス

建設キャリアップシステムの技能者新規登録と能力評価申請がワンストップになろうと、事務手続きの負担が生じるには事実です。1回だけの登録申請作業に多大なる労力を投下するには非常に無駄が生じます。株式会社FIRSTでは建設キャリアアップシステムの導入・運用サポートを唯一専門で行わせて頂いております。建設業界の労働上限規制により「業務の質」の改善が求められていると思います。社長や技術者や技能者の大切な時間がお金を生まない業務に奪われていませんか?お金を生み出す業務に集中して頂くために株式会社FIRSTが提供する、「建設キャリアアップシステムの導入・運用サポート」をご検討頂けると幸いです。

株式会社FIRSTの代行サービスについて知りたい方はこちら

https://first-corporation.co.jp/ccus-01/

まとめ

さて今回は、2024年度内にリリースされる『建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録申請と能力評価申請のワンストップ化』について詳しく解説してきました。この仕組みがリリースする事で、より多くの技能者が能力評価を受けご自身の技能レベルを提示することで適正な賃金・待遇をいち早く受け取れる環境を整備して行けたらと思います。弊社も現場の最前線で働く技能者さまの支援を行うべく全力で建設キャリアアップシステム普及促進活動を行っていければと思います。

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