2024.04.15

元請会社向け

協力会社向け

建設キャリアアップシステム(CCUS)義務化へ

建設キャリアアップシステムの利用は義務だよ!建設キャリアアップシステムの利用って義務なの?建設業務に関わるみなさんも一度は言われたり、聞いたりしたことがあるのではないでしょうか?ここには盛大な勘違いが行われているので、今回は建設キャリアアップシステムの義務について解説をしていきたいと思います。

◇このコラムを読んでもらいたい方

・建設キャリアアップシステム(CCUS)の利用が義務だと言った方

・建設キャリアアップシステム(CCUS)の利用が義務だと言われた方

・建設キャリアアップシステム(CCUS)の実情を知りたい方

◇このコラムでわかる事

・建設キャリアアップシステム(CCUS)の動向と実情

・建設キャリアアップシステム(CCUS)の未導入時のデメリット

建設キャリアアップシステム(CCUS)の義務化はいつから?

国土交通省 建設キャリアアップシステム普及・活用に向けた官民施策パッケージ より 出典

建設キャリアアップシステムの義務化はいつからはじまるのか?気になっている元請事業者や協力会社の方も多いと思います。結論、建設キャリアアップシステムの利用は当分義務化にはなりません。ではなぜこのような情報が建設業界で広まっているのか紐解いていきましょう。事の発端は国土交通大臣による令和5年度(2023年4月)から建設キャリアアップシステムの利用を「あらゆる工事で完全実施(原則義務化)」を発したことにあります。この発表で建設メディアや建設事業者の方が、建設キャリアアップシステムの利用が義務化になると認識し情報が拡散されました。しかし民間発注はもちろん、地方公共団体も一枚岩ではないため令和5年度(2023年4月)までに国土交通省含む地方公共団体や民間発注での原則義務化は実現しませんでした。では、そんな盛大な勘違いがあった、建設キャリアアップシステムの利用はどこまで進んでいるのでしょうか?公共工事では国土交通省の「すべての直轄工事」で導入、地方公共団体は東京都を含む43都道府県が導入を表明、政令市は全20団体も導入が表明。民間工事では、スーパーゼネコンx5社と全国区の準大手ゼネコン47社が民間の大型案件を中心に利用している状態です。近い将来、公共工事では、一早く義務化が国~都道府県~市区町村の流れでスタートすると思います。当初の予定からは義務化にほど遠い状況ではありますが、登録者数も2024年3月現在、技能者登録約140万人、事業者登録約26万社と傾聴に登録・利用者が増加しています。

建設キャリアアップシステム(CCUS)が義務化になったら?何の登録や利用を求められるのか?

公共工事を含め、今後建設キャリアアップシステムの利用が義務化になった場合に、元請会社と協力会社が求められることを1つずつ説明していきます。※現段階では報告義務は公共工事に限ると思われます。

①事業者登録

建設キャリアップシステムへ事業者情報の登録申請、審査を通過すると事業者IDが発行されます。この事業者IDを利用し建設キャリアップシステムの現場運用を行います。※事業者登録は法人、個人事業主、一人親方の区分なく登録が必要です。

②技能者登録

建設キャリアップシステムへ技能者情報の登録申請、審査を通過すると技能者IDと建設キャリアアップカードの発行がされます。主に建設キャリアアップカードを用いて現場で就業履歴の記録蓄積を行います。建設キャリアアップカードを取得していない場合は就業履歴の記録・蓄積は行えません。よく誤認している元請会社の方も多いので注意事項をお伝えすると建設キャリアアップシステムはあくまでも建設現場で働く技能者(建設職人)が対象です。そのため技術者(現場監督)や、配送運転手、警備員は対象外ですので原則、技能者登録は不要です。

③現場・契約情報の登録

建設キャリアップシステムへ現場・契約、工事情報の登録と行う事で現場IDが発行されます。この現場IDを用いて就業履歴の記録蓄積が行える環境整備を行います。

④CCUS就業履歴の蓄積

対象の現場で就業履歴の記録・蓄積を行うため、建設キャリアアップシステム上で元請会社と協力会社で協力して施工体制登録と技能者登録(作業員登録)を行った後に現場に専用のカードリーダー等の就業履歴蓄積設備を設置し、毎日、CCUS登録技能者に就業履歴の記録・蓄積をして頂きます。就業履歴の記録・蓄積は建設キャリアアップシステム上から就業履歴情報の帳票の出力し、登録状況の証明を行います。

⑤CCUS利用状況の報告

利用状況は現場運用を行ったさいの登録事業者率、登録技能者率、就業履歴蓄積率の計測数値(*1)をもとに良否判定を行います。利用実績は建設キャリアアップシステム上から帳票を出力し登録状況の証明が可能です。

*1 発注者が定める計算方法で達成基準値を確認する。

・登録事業者率: CCUS登録事業者の数/下請企業の数
・登録技能者率: CCUS登録技能者の数/技能者の数
・就業履歴蓄積率: 建設キャリアアップカードのカードリーダーへのタッチ等をして工事現場へ入場した技能者の数/工事現場へ入場した技能者の数

以上の5つについて元請会社と協力会社にて協力し現場運用を行った報告が求められます。

国土交通省 建設キャリアアップシステム活用モデル工事 実施要領 より

建設キャリアアップシステム(CCUS)は無駄?建設キャリアアップシステム未導入時のデメリット

建設キャリアアップシステムは無駄だ!と感じている人も大変多いのではないでしょうか?利用者の大半の方が元請会社や上位会社からのパワープレーでシステムの説明もなく導入しているため建設キャリアアップシステムの全容把握が行えておらず、システムの有効活用が出来ていない状態です。しかしここでは建設キャリアアップシステムの有効活用術ではなく建設キャリアアップシステムの導入を行わなかった場合のデメリットについて情報をご共有させて頂きます。

▽公共工事での受注機会損失

公共工事では、経審(経営事項審査)、入札制度(入札参加資格や総合評価方式)、工事成績評定等の加点評点が行われていますが、現段階では加点の点数が小さいが実情ではありますが、近い将来、総合評価方式等の入札で、能力評価レベル3以上の水準の技能者を〇%以上従事させ施工を行う等で加点評価が行われていくことが予測されます。またハウスメーカーもレベル3以上の技能者が建設した高品質な住宅ということで、差別化を図って来ると考えられます。このことから建設キャリアアップシステム利用者と未利用で差別化が行われ受注機会の損失が生じることが予測されます。

▽技能者(従業員)の転職リスク拡大

建設キャリアアップシステムでは賃金と待遇を改善するため技能者への各種インセンティブの提供環境を整備しています。現段階でも大手ゼネコンを中心にCCUS技能者へ1日1本のジュース支給や能力評価レベルに応じた割増賃金の支給を実施。CCUS利用頻度に応じたポイントの付与等も検討がはじまっています。徐々にではありますが建設技能者の賃金や待遇に変化がおきています。そして国土交通省が分野別・レベル別年収等を提示、公共工事設計労務単価が向上させている事で、CCUSを軸とした建設技能者の賃上げがより加速することでしょう。このことから近い将来、建設キャリアアップシステムを利用していない事業者はブラックの会社だと犬猿される事から、新規入職者採用の難航や、在職中の技能者はより好待遇の会社へ転職してしまうリスクが高まることが予測されます。

建設キャリアアップシステム(CCUS)の対象外工事と対象外の事例

経審の加点評価基準や国土交通省が公表している「建設キャリアアップシステム活用モデル工事実施要領」では、対象外になっている工事があります。そこも抑えておきましょう。

1つ目、国外工事

建設キャリアアップシステムの活用はあくまでも国内工事を対象としています。そのため現段階では国外工事は建設キャリアアップシステムの活用対象外になります。

2つ目、建設業許可が不要な工事

建設業許可が不要な軽微な工事も対象外とされています。

3つ目 短期現場入場者

現場に入場する期間が2週間以内の協力会社、技能者は建設キャリアアップシステムの利用対象外とすることが出来ます。あくまでの対象外と出来ますが、協力会社、技能者の判断で利用して頂くのは自由です。※公共工事のCCUS利用状況報告からの対象が可能という意味になります。

建設キャリアアップシステム(CCUS)のホームページで最新情報をキャッチ

建設キャリアアップシステムホームページ より

建設キャリアアップシステム(CCUS)の最新情報や運用実績は建設キャリアアップシステムのホームページの最新情報やCCUS登録事業者、技能者特典情報の随時更新が行われています。そのため建設キャリアアップシステム利用者の方は少なくとも1か月/回程度は最新情報と有益情報のキャッチアップをして頂き、建設キャリアアップシステムの有効活用をして頂ければと思います。

まとめ

今回、お伝えさせて頂いた通り建設キャリアアップシステムの義務化は行われていませんが、全国の公共工事でモデル工事がスタートし着実に利用するシーンが増加しています。現段階では、みなが手探りで利用をしている状況であるため、トライ&エラーが許される場面ではありますが、モデル工事等の試運転期間が終わると、ミスは許されない状況になっていきます。そのため建設キャリアップシステムへの登録申請と現場運用の早い段階ではじめ、本運用がスタートする時には、他者に先んじて差別化が行える環境をつくることをおススメ致します。

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