2023.05.15

協力会社向け

職人さんの技能の能力評価を反映した手当支給

建設キャリアアップシステム(以下、CCUSと表記)のメイン機能でもある、技能者(以下職人さんと表記)の能力評価制度。この能力評価制度を利用し50(*1)を超える大手、準大手ゼネコンで能力評価を反映した手当支給(*2)を行っています。
現在も広がりをみせている。能力評価を反映した手当支給。多くの職人さんがいち早く能力評価を受け、レベルを上げる事で、賃金・待遇の改善が行える環境整備が行える事を期待しています。

今回はこの能力評価制度について見ていきましょう。

  • *1 令和4年12月段階
  • *2 企業、支店、営業所、部署等に応じて手当の支給可否、内容は異なります。また手当は請負金額とは別で支給。

建設キャリアアップシステムの能力評価制度

CCUSの能力評価の趣旨はCCUSに登録・蓄積される情報を活用して、職人さんの技能について客観的な評価を行うことにより、技能に見合った賃金や待遇の実現を行い、職人さんの地位向上、建設業全体のイメージアップを図ることを目的としています。

能力評価は、就業日数、職長経験年数、資格証をもとにレベル1からレベル4までの4段階で行われており、4段階の目安としては、白(Lv.1)は見習い職人、青(Lv.2)は一人前の職人、銀(Lv.3)職長レベルの職人、金(Lv.4)は高度な能力のある職人で分けられております。

このレベルに応じて職人さんが適正な賃金・待遇を受けられるように国土交通省では今夏(*3)までに40業種のレベル別賃金目安を公表する予定となっております。この賃金目安を利用して職人さんは元請会社や雇用管理者と協議・調整を行い賃金・待遇の改善に繋がると考えられます。

さて、その評価制度は建設業にある70を超える職種すべてで評価が可能かというとそういうわけではありません。現段階(*4)では能力評価を受けられるのは国土交通省が認定した40業種のみとなり、認定を受けていない職種に関しては現状、能力評価を受けることが出来ません。また能力評価はCCUSに登録を行えば自動で行われるものではなく、個々人で任意に行うものとなります。そのためCCUSに初回登録時は、上位レベルの要件が満足していても白(Lv.1)のカードが発行され、登録後に能力評価申請手続きを行う必要があります。

  • *3 2023年
  • *4 2023/04/27現在

レベルアップの経過措置

職人さんには目から鱗が落ちるような能力評価制度ではありますが、能力評価を受けている職人さんは1割にも満たない状況であり約9割(*5)の方は能力評価を受けていないのが現実です。

この原因としては導入手順が元請会社から協力会社へ登録要請を行い、登録を行うことが主流となっている事が予測されることから、元請会社から協力会社へCCUSの目的や情報がしっかり届いていないからではないかと考えられます。
しかし元請会社のせいだけにはできません。CCUSは協力会社で働く職人さんの賃金・待遇を改善するシステムです。協力会社のみなさん賃金・待遇改善に直接かかわるシステムになりますので興味をもって頂き情報を一早くいち早くキャッチアップし、能力評価レベルを上げる事で、賃金・待遇の改善は勿論のこと競合他社との差別化を図る上では絶好のチャンスとなります。

また現在行われている能力評価の経過措置が働いており、非常にレベルアップが行いやすい状況です。このチャンスを逃すとレベルアップに非常に多くの時間が必要になり能力評価を受けている競合に遅れをとる可能性が生じるので注意が必要です。経過措置は2024年3月31日までの申請分を対象に特例で適用されます。

本来CCUSに蓄積された就業履歴をもとに就業日数と職長経験日数の証明が必要ですが、経過措置期間中は、所属事業者等による経歴証明または就業日数については建設関連資格を最古の資格取得日を職長経験日数は職長教育または職長・安全衛生責任者教育の取得日からの就業日数にて計算する事が可能です。

就業日数、職長経験日数の証明が経歴証明または保有資格で行えるため、規定日数に達していればレベルに応じた資格を保有していればレベルアップが可能です。

この説明を聞いて何が緩和されているの?と思う方もいらっしゃると思いますが、経過措置が終了すると、原則就業日数と職長経験日数の証明はCCUS上に記録された就業履歴のみを利用して実績証明が必要になります。つまり、経過措置後に能力評価をうけレベル4の金になるには、業種にもよりますが概ね最低でも10年間(*6)CCUS利用案件での現場入場が必要になります。

このことから経過措置期間中にレベルを出来る限りレベルを上げておかなくては、当面レベルアップは困難な状況になると言うことです。となれば早々に能力評価申請を行おうと思いますのよね?
能力評価はCCUSが行っているわけではなく、業務を受託した各業種別に能力評価実施団体がありCCUS上の情報を利用して評価を実施しています。そのため能力評価実施団体ごとに要求ある資料・情報を準備し、団体の指定のある申請方法(システム、メール、郵送等々)にそって申請を行う必要があります。

また能力評価には当然申請(審査)費用がかかります。申請後レベルアップが行えなくても審査費用が戻ってくることはないので申請前には入念なチェックが必要となります。利便性の問題から今後、CCUSへ技能者新規申請を行う方は能力評価申請も同時申請できる機能をリリース予定があるそうなので近い将来能力評価が自動で行われるようになるようですが既に登録済みの方は自動で能力評価が行われることはないと予測されます。

  • *5 2023/04月
  • *6 1年間を215日換算した場合

能力評価においても一定手間がかかるのは事実ではありますが、経験・技能の適正な評価を将来的にうけるために能力評価を受けることをおススメ致します。

結び

建設キャリアアップシステムと能力評価についてネガティブなイメージを持たれている方も多く、元請や上位会社が支払ってくれるかわからない等々、色々な意見をお伺いする機会がありますが、私はこれから日本の人口減少が進展することで、人手の絶対数が少なくなるため建設技能者(職人)の価値(単価)は急上昇すると考えております。その未来で自称スキルが高いではなく、客観的に経験と技能を評価してくれる建設キャリアアップシステムが大きく役に立ち賃金・待遇を改善してくれると思います。

本日は『職人さんの技能の能力評価を反映した手当支給』についてお話させて頂きました。
最後までご一読頂きありがとうございました。

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