2024.06.28

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建設キャリアアップシステム(CCUS)登録・利用でメリット拡充・国交省のCCUS3か年計画案!

国土交通省は2024年6月20日に開いた建設キャリアアップシステム(CCUS)処遇改善推進協議会で、CCUSの現場利用拡大に向けた3か年計画案として3つの大きな取組案を提示した。今後、構成員の意見を踏まえて、CCUS3か年計画の内容を調整、具体化し策定を行うとのこと。今回の計画案の内容は技能者・専門工事会社のメリットはもちろん、元請会社のメリットも非常に拡充される内容であり魅力的であったので、今まで建設キャリアアップシステムを利用してもメリットがないと思っていた技能者、専門工事会社、元請事業者の方々も建設キャリアアップシステムのメリットを感じて頂けると思います。この有益な情報をより多くの建設技能者、事業者の方に知って頂きたいので今回は建設キャリアアップシステム(CCUS)処遇改善推進協議会で提示された計画案の概要についてご案内をしていきたいと思います。

◇このコラムを読んでもらいたい方

・建設キャリアアップシステム登録技能者、登録事業者

・現段階で建設キャリアアップシステムにメリットを見いだせていない登録技能者、登録事業者

・これから建設キャリアアップシステム登録を行おうと考えている技能者、事業者

◇このコラムでわかる事

・国土交通省のCCUS3か年計画案の内容

・建設キャリアアップシステムの短期将来展望と取組

・今後の建設キャリアップシステムの利用時のメリット

国交省の建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録・現場利用促進のための3か年計画案

引用|CCUS利用拡大に向けた3カ年計画の主な取組み(6/24・2面)|建設通信新聞

国土交通省では建設キャリアアップシステム登録技能者、登録事業者がCCUSを活用することによる処遇改善や業務効率化のメリット今まで以上に実感して頂くために2026年度までの3年間を、改正建設業法と一体となった技能者の処遇改善、現場管理業務効率化の「メリット拡大フェーズ」として3つの柱を打ち立てました。

1、技能者の経験・技能に応じた賃金・処遇改善

2、CCUSを軸にした共通のデータ基盤整備による現場管理業務などの効率化

3、CCUSによる就業履歴の蓄積と能力評価の推進

上記の3つを読んだだけだと、何のこっちゃ。具体的に何をするのかはわからないですよね…。この3つの柱として建設キャリアアップシステム登録技能者、登録事業者にどの様なメリットを拡充してくれているのか?次項から解説してきます。(※現段階では計画案であるため具体的且つ詳細まで詰まっている取組ではないのでご了承ください。)

建設キャリアアップシステムの利用で経営事項審査(経審)の加点拡大

CCUS3か年計画の1つ目の柱、『技能者の経験・技能に応じた賃金・処遇改善』で今回の計画の目玉の施策となるのが『「技能者を大切にする適正企業」の自主宣言制度」(仮称)の創設です。具体的な取組は、元請企業の場合、適正な工期や労務費で取引をしている事。下請企業の場合、CCUS技能レベルに応じた手当・賃金の支払い、月給制での従業員雇用、週休2日制に取組んでいるか等を評価項目に想定している。こちらの宣言をした企業について2024年4月から体制を倍増した建設Gメンが発注者を含む幅広い関係者への実効性の実地調査にあたるとの事。国土交通省では自主宣言企業の一覧をホームページで公開を行うとともに、専用のロゴマークの使用を可能とすることで対外的にアピールが行えるようにすることで、求人・求職サイトでの情報発信が行えるような仕組みを考えている。公共発注者では自主宣言企業との取引を優先的に行う事も検討しているとのこと。そして元請会社であり、公共工事に関わる事業者に限定されますが一番のインセンティブとなるのが経営事項審査(経審)での加点評価ですね。自主宣言制度による加点ポイントは公表されていません。建設キャリアアップシステムの活用で最大15点の加点プラス建設キャリアアップシステムを通しての自主宣言制度により更に加点が行われることから、面倒なISO(9001登録で5点・14001登録5点)の登録・運用を行うより建設キャリアアップシステムの活用を行ったほうが経営事項審査(経審)への寄与度は大きいため、経審を向上させたい元請事業者にとっては建設キャリアアップシステムを利用する強い動機になりますね。ここで説明した『「技能者を大切にする適正企業」の自主宣言制度」(仮称)は 2024年度に制度創設、26年度以降、高水準の対応事業者の更なるインセンティブ強化を行うべく計画が策定されるようです。

建設キャリアアップシステムとグリーンサイト等安全書類作成システムとのデータ連携

CCUS3か年計画の2つ目の柱、『共通のデータ基盤』。ここではこの元請会社の現場管理業務や下請会社の事務作業をCCUSの活用を通じて効率化を図ります。『共通のデータ基盤』大きく3つの登録が計画されており、1つ目計画は建設キャリアアップシステムのデータ活用範囲の拡充です。具体的にはクラウドで労務・安全衛生書類の作成・管理が行えるグリーンサイト(㈱MCデータプラス提供)やビルディ(㈱リバスタ提供)等のCCUS就業履歴データ登録標準API認定連携システムと情報連携を行い、CCUS上で登録した情報を連携システム側へ自動反映を可能にすることで書類作成時の手入力や同一内容の登録を不要とすることで効率化を図ります。またCCUS上で施工体制台帳等の建設業法に関わる安全・衛生書類の作成・閲覧ができるようにすることで元請会社から発注者への紙面での書類提出を不要にすることを、全公共発注者に対し要請を行っていく。これにより元請会社、現場に入場する下請会社、そして発注者の業務効率化が実現する。

建設キャリアアップシステム・建退共のデータ連携による電子申請加速

『共通のデータ基盤』2つめの計画は、建設キャリアアップシステムと建退共の連携強化です。現在も建設キャリアアップシステムと建退共の連携は行われているとされていますが、連携までには建設キャリアップシステム、建退共・就労ツール、建退共・電子申請専用サイトと3つのシステムを介してはじめてデータ連携が行えるとされていますが連携とは言葉ばかりで実際は人がデータ出力とデータ入力を数度繰り返さないと建退共の電子申請を行えず、逆に証紙の付与より手間がかかるのが現状でした。しかし今回の計画案の『共通のデータ基盤』により25年度中にCCUSからワンタッチで建退共へ就業実績登録が可能になるとのこと。これにより建退共を貰うために出面表を作成したら、電子申請を行うために3つのシステムを利用する手間がなくなるため元請会社と下請会社双方の事務作業が効率化されることは間違いありません。

建設キャリアアップシステムアプリの利用で資格証の携帯義務緩和

『共通のデータ基盤』3つめの計画は、技能者の資格証(特別教育、技能講習等)の携帯義務緩和です。現在、開発が進んでいる建設キャリアアップシステム技能者パスポート(CCUSアプリ)利用して段階的に充実化を図る計画。第一弾として24年度内に就業履歴や有害物質取り扱い作業履歴等の確認を可能にし、25年度までには建設キャリアップシステムに登録してある資格証(特別教育、技能講習等)をスマホアプリで画像表示できるようにし資格証の携帯を不要にするとの事。これが実現すれば資格証の紛失はもちろん、洗濯や汗等で資格情報が不鮮明になり再発行を行う必要もなくなるため技能者にとっては一番有難い事だと思います。

建設キャリアアップシステムアプリの登録技能者の処遇改善環境の整備

CCUS3か年計画の3つ目の柱、『CCUSによる就業履歴の蓄積と能力評価の推進』この項目では、大きな施策は提示されていませんでしたが、注目すべきは、『元請がCCUSに現場登録しない場合の就業履歴蓄積の在り方検討』になります。建設キャリアアップシステムは元請会社が費用負担する事から元請会社主導で現場利用の可否を判断していますが、そもそも建設キャリアアップシステムは技能者の処遇改善のシステムであるのに、元請会社が利用を行わないと技能者の方が自身の経験を就業履歴として蓄積が行えないのは、おかしな話ですよね?前々からいたるところのこのような声は聞こえてきていましたが、何も対策が打たれていないのが現実でした。しかし今回ここにもメスを入れていこうとしているという事です。この課題が解決されれば、元請会社に依存することなく自由に自身の経験・スキルを就業履歴として蓄積できるので、より実リアルに近い能力評価実現に使づけると考えます。他にも現在、建設キャリアアップシステムがあまり踏み込めていない住宅市場の技能者の方々にも利用して頂けるように住宅建築分野の能力評価基準が策定される事が提示されています。これにより、今までの能力評価が受ける事ができないため建設キャリアアップシステムの利用を行っていなかった技能者の方も利用して頂ける基盤整備が出来る事が予測されます。

建設キャリアアップシステム(CCUS)3か年計画の行方

今回の建設キャリアアップシステム(CCUS)処遇改善推進協議会ではCCUSの現場利用拡大に向けた3か年計画案を提示し今後の多くの取組工事のアウトラインを示しました。はたから聞いている建設事業者からすれば、計画誰をするのではないかと心配される方も多いと思いますが、協議会に参加していた、学識者、建設業団体、建設業関連団体、発注者団体、行政機関は当該計画案におおむね賛同する意見があがっていたため、3か年でどこまでいけるかは不明ですが、今回の計画案の実現に向け強く取り組んでいくことは確かでしょう。ここから詳細を詰め、時間をかけずに計画案を実施計画までブラッシュアップしていくと思うので、期待して実施計画がまとまるのを待ちましょう。楽しみですね!

建設キャリアアップシステム(CCUS)処遇改善推進協議会で規制逃れの一人親方対策議論

引用|CCUS処遇改善推進協議会で申し合わせた一人親方対策の主な取組事項(6/25・1面)|建設通信新聞

そして今回の、建設キャリアアップシステム(CCUS)処遇改善推進協議会ではCCUSの現場利用拡大に向けた3か年計画案とは別に、一人親方対策の主な取組事項についても申し合わせがありました。こちらの議題では、規制逃れを目的とした一人親方対策と一人親方の取引環境適正化について議論が行われたようです。

建設キャリアアップシステムによる一人親方の取り締まり強化

議論の主は規制逃れを目的とした一人親方対策でした。結論一人親方の取り締まりを強化するという事で、一人親方に発注する建設事業者の取り締まり強化はもちろん、建設キャリアアップシステムを利用して一人親方の技能レベルの適正性のチェックやCCUSへ登録する一人親方へ不当な扱いを受けていないかのチェックリストの活用周知を行っていく予定との事。今後、一人親方に業務を依頼する時は発注側も受注側も規制逃れのための一人親方でない事を確認・証明していくことが必要なのかもしれません。

まとめ

今回は、建設キャリアアップシステムのメリット拡充・国交省のCCUS3か年計画案!の概要をご案内しました。建設キャリアアップシステムは建設業界の制度的インフラになるためここから3年間で新たな進化を遂げ、より多くの建設技能者さまの処遇改善の実現と建設事業者さまの業務効率化を実現していくことが予測されます。建設キャリアアップシステムの建設技能者の処遇改善と建設事業者さまの業務効率化をより加速させるにはより多くの建設技能者さまと建設事業者さまの利用が必要不可欠です。建設業界で働くすべての方に適正な賃金・処遇、労働環境をいち早く整備するためまだ利用をしていない建設技能者さまと建設事業者さまにおかれましてはこれを機に建設キャリアアップシステムを導入・利用をして頂けばと思います。

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