2024.05.08

元請会社向け

東京都の建設キャリアアップシステム(CCUS)登録・運用実施要領

2024年度から建設キャリアアップシステム(CCUS)の導入を決めた東京都。東京都ではどのような実施要領を定め、建設キャリアアップシステムの普及・促進を行っていくのか?を解説していきます。

◇このコラムを読んでもらいたい方

・東京都の公共工事に従事する元請会社

◇このコラムでわかる事

・東京都の建設キャリアアップシステム(CCUS)実施要領

建設キャリアアップシステム登録・活用時の評価について

まずは、東京都の元請会社さまが一番気になるのが、建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用によるインセンティブがどの程度あるのか?ですよね。結論、工事成績評定での1点加点のみ、入札での加点評価は確認できなかったことからインセンティブとしては他の道府県と比較すると、若干見劣りするのが現実です。まだ試行段階と言うこともあり様子見感が否めませんが、公共機関は失敗が許されないので仕方がないですね。

東京都 「建設キャリアアップシステム活用工事」の実施について より 出典

東京都発注工事では建設キャリアアップシステムの利用が義務化?

東京都の建設キャリアアップシステム(CCUS)の導入により都が発注するすべての工事で建設キャリアアップシステムの活用が義務化になってしまったのか?というとそんなことはありません。東京都財務局建築保全部の工事のうち、技術管理課長が定めた工事に限定しております。また現段階では受注者希望型であるため、建設キャリアアップシステム(CCUS)活用モデル工事を受注した元請会社に活用の選択権がある状況です。そのため自社の状況に合わせて建設キャリアアップシステム活用を判断することが可能です。活用を行わなくても減点もないのでご安心ください。※2024年5月8日現在、東京都財務局建築保全部では建設キャリアアップシステム(CCUS)活用モデル工事の初弾工事は公告していません。

東京都が定める建設キャリアアップシステムのカードリーダー等設置の達成基準

東京都は何を持って建設キャリアアップシステムの活用を行ったか?を判断する達成基準は4つあります。順番に見ていきましょう。

1、現場IDの取得

建設キャリアアップシステム上に対象工事の工事・契約情報の登録を行い、現場IDの取得を行う。根拠資料として現場・契約情報の帳票出力を行い、監督員へ報告書を提出する。

2、カードリーダー等の就業履歴蓄積設備の設置

現場に入場する技能者(建設職人)が就業履歴の蓄積が行えるようカードリーダー等の就業履歴蓄積設備の設置を行い、就業履歴の記録・蓄積が行える環境整備を行う。根拠資料としてカードリーダー等の設置状況がわかる写真を撮影し、監督員へ提出する。

3、活用実績報告書の提出

発注者が指定する計測日に現場に入場する『CCUS登録事業者率』、『CCUS登録技能者率』、『CCUS就業履歴蓄積率』を計測した数値を監督員へ報告する。計測周期は工事着手日から6か月後を1回目とし、以降3か月に1度計測値の集計し、監督員へ報告を行う。※1回目計測から3か月未満で工事が完了する場合は工事完了前に計測日を1回設け、2回の報告とする。報告時の根拠資料として、計測日毎の施工体系図、施工体制台帳、作業員名簿、現場に入場した事業者数、技能者数などの計測数値をまとめた報告書を作成・提出する。

4、アンケートの協力

都が求めるアンケートに協力し回答を行う。

 

▽用語の定義をご紹介

・CCUS登録事業者:

下請企業のうち、一般財団法人建設業振興基金に対し、事業者として自社の情報、雇用する技能者に関する情

報又は建設現場に係る情報を登録するCCUSの利用者をいう。

・CCUS登録技能者:

技能者のうち、一般財団法人建設業振興基金に対し、技能者として本人情報を登録し、就業履歴情報を蓄積するCCUSの利用者をいう。

・登録事業者率:

CCUS登録事業者の数/下請企業の数

・登録技能者率:

CCUS登録技能者の数/技能者の数

・就業履歴蓄積率:

建設キャリアアップカードのカードリーダーへのタッチ等をして工事現場へ入場した技能者の数/工事現場へ入場した技能者の数

建設キャリアアップシステム活用時の料金負担

都ではカードリーダー等の就業履歴蓄積設備や現場利用料などの料金がすべて受注者負担としています。他の道府県ではカードリーダー等の就業履歴蓄積設備や現場利用料は発注者負担にしているところが大多数のためなぜ?受注者負担にしたのかは不明です。勝手な憶測ですが現段階では建退共のように発注者が負担してまで建設キャリアアップシステムの普及・促進を行おうという姿勢ではないのかもしれません。

まとめ

今回、東京都が定めたCCUS活用実施要領をみてきましたが、他の道府県に比べ東京都の導入は遅れをとっているため、いきなり他の道府県と一線を画する実施要領を定めるのは厳しかったのだと思います。都の工事に従事する元請会社からするとインセンティブが限定的であるため、率直に言って建設キャリアアップシステムを率先して利用を行う会社は少ないと思います。そのため都の監督員から元請会社へ建設キャリアアップシステムの活用を促し、元請会社に協力してもらう形になるのではないかと予測しています。まだまだ建設キャリアアップシステム活用の義務化にはほど遠い状況ではありますが日本で公共工事の発注額が2番目に大きい東京都の建設キャリアアップシステム活用に向けた動きを引続き注視していきたいと思います。

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建設キャリアアップシステム(CCUS)代行サービス

株式会社FIRSTでは建設キャリアアップシステムの導入・運用サポートを唯一専門で行わせて頂いております。CCUSの施工計画書の作成から現場IDの取得や協力会社の登録・運用支援までワンストップでサービス提供しております。2024年度からの建設業界の労働上限規制により「業務の質」の改善が求められていると思います。社長や技術者や技能者の大切な時間がお金を生まない業務に奪われていませんか?お金を生み出す業務に集中して頂くために株式会社FIRSTが提供する、「建設キャリアアップシステムの導入・運用サポート」をご検討頂けると幸いです。

 

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