2024.05.10
元請会社向け
協力会社向け
現場登録・運用のコツ
建設キャリアアップシステム(CCUS)活用推奨モデル工事
2023年度から徐々に「建設キャリアアップシステム活用推奨モデル工事」が増加し、元請事業者の方では、困っている事業者や現場管理者の方も多いのではないかと思います。 そこで、本日は「建設キャリアアップシステム活用推奨モデル工事」について解説を していきたいと思います。
◇このコラムを読んでもらいたい方
・CCUS活用推奨モデル工事の概要を知りたい元請事業者
◇このコラムでわかる事
・建設キャリアアップシステム活用推奨モデル工事に関する
・概要、流れ、課題、現場運用円滑化の有力情報、今後の展望
建設キャリアアップシステム活用推奨モデル工事とは?
建設キャリアアップシステム(CCUS)を活用し、建設技能者の処遇改善による担い手確保を更に推進させるとともに今後の建設キャリアアップシステム現場運用を円滑にするための試行的な取組で行われています。
建設キャリアアップシステム現場運用マニュアル 第6章 より 出典
建設キャリアアップシステム活用推奨モデル工事の発注方式と達成基準を確認
▷発注方式
発注者に応じて「発注者指定型」または「受注者宣言型」の指定を行っています。当然、「発注者指定型」の場合は受注者側に選択の余地はないので、モデル工事の対応が余儀なくされます。「受注者宣言型」では、達成基準や評価の内容と自社の建設キャリアアップシステムの登録・現場運用状況を確認した上での選択が可能です。
▷CCUS活用達成基準
発注者と元請事業者が建設キャリアアップシステムの現場運用になれるために達成基準が低く定められています。そのための元請会社の建設キャリアアップシステムシステム導入後の試運転に非常に相性がいいと言えます。発注者により達成基準は異なりますが、主な達成基準を以下の通りとなります。
1、CCUS事業者登録
元請事業者が建設キャリアアップシステムへ登録し事業者情報を登録し事業者IDを保有していることを確認されます。
2、CCUS現場・契約情報登録
元請事業者が建設キャリアアップシステムへ対象案件の現場・契約情報を登録し現場IDを取得していることを確認します。
3、CCUS技能者登録
建設キャリアアップシステム上で対象の現場の施工体制登録と1名以上の技能者登録が完了していることを確認します。
4、CCUS就業履歴記録・蓄積
現場にカードリーダー等の就業履歴蓄積が設置されており、現場に入場するCCUS登録技能者が就業履歴を1以上登録していることを確認します。発注者により達成基準は異なるのでよく確認を行いましょう。
▷評価の内容確認
「工事成績評定の加点(創意工夫)」で評価されるのが一般的です。加点の点数は、発注者により異なるので確認を行いましょう。「受注者宣言型」の場合は、加点の点数によっては費用対効果で対応可否については経営判断になると思います。しかし数年後からは建設キャリアアップシステムの現場運用は義務化になる事を考えると、活用推奨モデル工事で試運転を行い現場管理者に慣れて頂く事も重要だと思います。
建設キャリアアップシステムのカードリーダー等の料金負担
建設キャリアアップシステム活用推奨モデル工事では、発注者が定める達成基準をすべて満たした場合にCCUS活用の費用を支出実績に応じてお支払いをして頂けます。発注者が負担してくれる費用としては、カードリーダー等購入費用(モデルに応じて1万円~3万円)、と現場利用料(カードタッチ費用)の項目に限り対象となっています。発注者の料金負担の範囲と額についても達成基準と同様に発注者により異なるためよく確認を行いましょう。
建設キャリアアップシステムの現場登録・運用の流れ
「建設キャリアアップシステム活用推奨モデル工事」を受注した場合に達成基準は理解できたけど現場で何をすればいいかわからない?という方も多いと思うので大まかな現場登録・運用の流れを見ていきたいと思います。
※前提
・元請事業者の事業者登録、現場管理者登録が完了済みとします。
・建設キャリアアップシステム就業履歴アプリ「建レコ」利用時
1、現場・契約情報の登録
対象現場の契約書、現場説明書、参考内訳書、設計図、コリンズ登録情報をもとに、発注者と協議を行い現場・契約情報の登録を行い、現場IDを取得します。
2、施工体制・技能者登録
建設キャリアアップシステム上で対象現場に入場する協力会社へ施工体制登録要請を送付し、施工体制の登録と技能者登録(作業員登録)を行ってもらいます。
3、建レコアプリのインストールと初期設定
カードリーダーを接続する、PCまたはiPad、iPhoneへ建レコアプリのインストールを行い、初期設定を行います。
4、カードリーダー等の購入
カードリーダー等の就業履歴蓄積設備を購入またはリースにて準備を行う。※発注者へ請求を行うため購入時の場合は請求書と領収書をしっかり受領し保管を行う。
5、カードリーダーの設置
建レコ建レコアプリのインストールしたPCまたはiPad、iPhoneにカードリーダーを接続し、現場に入場する技能者がカードタッチを行いやすい場所にカードリーダーを設置します。※カードリーダー設置状況の写真必要
6、就業履歴の蓄積
現場に入場したCCUS登録技能者へカードリーダーに建設キャリアアップカードをかざしてもらい、就業履歴の蓄積を行ってもらいます。※カードリーダーへカードをかざしている写真が必要
7,CCUS利用状況報告書の提出
建設キャリアアップシステム上から、事業者登録情報、現場・契約情報、就業履歴情報とカードリーダー設置証明写真をまとめ発注者へ提出し発注者へ承認を貰う。※事業者登録情報、現場・契約情報、就業履歴情報は建設キャリアアップシステム上でダウンロード
8、CCUS活用費用の申告
カードリーダー等の就業履歴蓄積設備の購入資料と現場利用明細書をまとめ、発注者へ提出、CCUS活用費用を追加増減にて清算を行う。※現場利用明細書はより建設キャリアアップシステム上でダウンロード
現場運用について詳しく知りたい方は下記コラムを読んでもらえたらと思います。
はじめての建設キャリアアップシステム(CCUS)の現場登録と運用 は こちら
建設キャリアアップシステム・下請会社の事業者登録・技能者登録状況の確認
「建設キャリアアップシステム活用推奨モデル工事」への応札を行う際は、必ず前もっと自社と協力会社の建設キャリアアップシステム登録と現場運用状況の確認を行って下さい。「建設キャリアアップシステムへの登録」が済んでいない場合、 事業者登録から現場運用開始まで約1~1.5ヶ月程度の時間が必要になるため、入札落札後の対応だと現場がバタバタしてしまうため注意が必要です。
建設キャリアアップシステム活用推奨モデル工事の課題
建設キャリアアップシステム活用推奨モデル工事では、発注者の監督員と元請会社の現場監督双方が建設キャリアアップシステムの現場運用経験がない場合がほとんどです。そのため、登録内容や登録のタイミング等を逃し、達成基準を満たせない状況になってしまう事もあるので、建設キャリアアップシステムの現場運用を円滑に進めるための知識をしっかり学んで頂ければと思います。
より現場運用を円滑にするための情報
現場運用について詳しく知って頂くために下記コラムを読んでもらえたらと思います。
はじめての建設キャリアアップシステム(CCUS)の現場登録と運用 は こちら
建設キャリアアップシステムの操作についてはYouTube動画「CCUSチャンネル」を有効に活用して頂ければと思います。
・CCUSチャンネルはこちら
建設キャリアアップシステム義務化モデル工事
現在、地方自治体が発注する公共工事は「建設キャリアアップシステム活用推奨モデル工事」が主になっていますが、今後は、時間と共に大型案件から徐々に「建設キャリアアップシステム義務化モデル工事」に移行が行われていきます。「義務化モデル工事」では、国土交通省が作成した「建設キャリアアップシステム活用モデル工事 実施要領」をもとに基準を定めているため「義務化モデル工事」では「活用推奨モデル工事」より数段上の達成基準が求められます。
今後のために達成基準を見ておきましょう。
達成基準は発注者が定める計測日に以下の基準を満たしている事が必要です。
▷平均登録事業者率
平均登録事業者率の最低基準 70%(目標基準90%)
計算方法【CCUS登録事業者の数/元請企業及び下請企業の数】
▷平均登録技能者登録率
平均登録技能者率の最低基準 60%(目標基準80%)
計算方法【CCUS登録技能者の数/技能者の数】
▷平均就業履歴蓄積率
平均就業履歴蓄積率の最低基準 30%(目標基準50%)
計算方法【現場で就業履歴を蓄積した技能者の数/工事現場へ入場した技能者の数】
※現場への入場期間が2週間以内の技能者は除く
▷計測日
登録事業者率、登録技能者率又は就業履歴蓄積率を計測する日を言います。計測日は、受発注者の協議の上で決定します。原則は工事の始期から半年後を初回とし、2回目から3ヶ月に1回の頻度で計測を行います。工期が半年未満の場合は、工事の開始から3ヶ月後を1回目とし、以降3ヶ月に1回の頻度で計測を行います。また計測回数は工事毎に最低 2 回以上実施を予定。
まとめ
建設キャリアアップシステム活用推奨モデル工事では発注者と元請事業者双方が現場運用の初心者であるため、失敗があっても発注者も許容してくれることが多いと思います。建設キャリアアップシステムの現場運用を開始したばかりの事業者さまはもちろん、まだ、建設キャリアップシステムを導入していない方や事業者登録したが利用を行っていない建設事業者さまはこの機に現場運用を開始してみては如何でしょうか?
建設キャリアアップシステム(CCUS)代行サービス
建設キャリアアップシステムは元請会社と協力会社が協力して運用を行っていくシステムです。元請会社内や協力会社にはITの操作が苦手な方も多く、円滑に運用を行うには課題を多い事と思います。しかし建設業界では労働上限規制等で労働時間も限られてしまう事から、餅や餅屋で得意な業務に集中することで生産性を向上させていくことが重要だと感じています。株式会社FIRSTでは建設キャリアアップシステムの導入・運用サポートを唯一専門で行わせて頂いております。社長はじめ技術者や技能者の方が?お金を生み出す業務に集中して頂くために株式会社FIRSTが提供する、「建設キャリアアップシステムの導入・運用サポート」をご検討頂けると幸いです。
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