2024.04.19

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建設キャリアアップシステム(CCUS)の現在までの歩みと登録実績

突如として建設業界に現れた建設キャリアアップシステム、大手の現場では現場入場時に求められたりしている事から「面倒くさいのが出来た?」という認識持っている方も多いと思います。そこで、本日は、突如として現われた建設キャリアアップシステムの生い立ちと現在の登録・運用実績についてわかりやすく解説をしていきます。

◇このコラムを読んでもらいたい方

・建設キャリアアップシステムの生い立ちから現在の登録・運用実績を知りたい方

◇このコラムでわかる事

・建設キャリアアップシステム構築の背景

・建設キャリアアップシステム現在の運用実績

建設キャリアアップシステム(CCUS)の構築の背景と流れ

皆さんが共通で課題を感じているのは「人材の確保」だと思います。少子高齢化の波もあり、建設業界だけでなく日本の全産業で人手が不足しているため、人材の獲得競争は激しさを増しています。建設業界は全体的に他産業より賃金や待遇、労働環境が見劣りするイメージが強いため、人材の確保が他の産業に比べ非常に厳しいのが現実です。そのため建設業界をあげて担い手となり技能者、とりわけ若年層を確保していくために、他産業と比べても生涯を通じて魅力的な賃金・待遇、労働環境である職業、産業であることを目に見える形を示していくための仕組みの整備が必要となり、建設キャリアアップシステムの構築がスタートしました。構築の流れとしては、

2015年 5月19日 建設業界の賃金・待遇、労働環境を変革するため、建設産業活性化会議において建設技能者の経験値が蓄積できるシステムの構築を表明

2015年 8月 6日 構築検討のため官民コンソーシアムを立上げ2016年 4月19日  適切な評価と処遇の改善、技能の研鑽、将来のキャリアパスを見える化できるための建設キャリアアップシステム基本計画書がまとめされた。建設キャリアアップシステムの運用手順、要件定義の検討がスタート。

2016年12月21日   建設キャリアアップシステムの「要件定義書」が合意され、(一財)建設業振興基金がCCUSの運営主体として選任。建設キャリアアップシステムの開発開始

2017年6月30日  国土交通省関係省庁、建設業振興基金、関係団体により建設キャリアアップシステム運営協議会が設置。建設キャリアアップシステム運営協議会にて協議を繰り返し、日本建設連合会の会員企業により試験運用を経て、2019年4月1日にはれて建設キャリアアップシステムの本格運用が開始しました。

建設キャリアアップシステム(CCUS)の料金改定

2019年2019年4月1日に本格運用が開始した建設キャリアアップシステムですが、運用開始1年半ですべての料金改定に踏み切ります。2020年10月より料金の改定が行われ登録料や各種利用料がほぼ2倍になりました。料金種別ごとに1つずつ見ていきましょう。

①事業者登録料

②技能者登録料(*2021年4月1日より改訂)

③管理者ID利用料

④現場利用料

建設キャリアアップシステム(CCUS)郵送による登録申請の廃止(2020年10月)

料金の制度改定は非常に大きなことですが、この改訂で他にも大きな変化が2つありました。1つ目は、郵送による登録申請窓口の廃止になります。パソコンやスマホの操作が苦手な方を対象に紙媒体で建設キャリアアップシステムへの登録申請が行える申請方式でしたが、利用者と運用コストのバランス等諸事情により窓口廃止が決まりました。これによりパソコンやスマホの操作が苦手な方はCCUS登録認定機関での対応が余儀なくされたため、登録申請を行うハードルが一定上がったと考えられます。

建設キャリアアップシステム(CCUS)のお問い合わせ窓口の閉鎖(2020年10月)

2つ目が、電話お問い合わせ窓口の閉鎖です。こちらは料金改定に並ぶかそれ以上のインパクトがありました。この改訂により建設キャリアアップシステムのお問い合わせは、メールお問い合わせフォームのみとなったため、登録申請や現場運用に関する質問や依頼等に関する対応速度が目に見えて遅くなりユーザーにとって、改悪と評価される内容でした。

建設キャリアアップシステム認定アドバイザーやCCUS登録行政書士によるサポート

郵送による登録申請や電話お問い合わせ窓口の閉鎖によりユーザーの利便性を損なわない様に建設キャリアアップシステムでは、CCUSに関する一定の知識を持つ、認定アドバイザーやCCUS登録行政書士の整備に力を入れることで、事業者や技能者の建設キャリアアップシステムの登録、現場運用の支援を行っています。

 

ゼネコンから半強制的な登録要請や色々な改訂でネガティブなイメージを持たれている建設キャリアアップシステムではありますが、2024年3月段階(公開時の最新)の登録・運用実績を見ていきましょう。

建設キャリアアップシステムの事業者登録実績

事業者登録実績は2024年3月末段階で法人と個人事業主172,646社、一人親方86,250人、合計258,896社(建設業許可事業者約137,039社)が登録を行っており、毎月約3,400社が新規の登録申請をしております。2023年3月末現在、全国建設業許可業者数が約47万社、のうち完成工事高がある建設事業者が、約22万社である事から、建設業許可事業者の約6割の事業者が登録を済ませている事になります。ここ1年間の増加率は鈍化傾向ではありますが今後、公共工事の導入により公共工事に関わる中小元請会社の登録が伸びることで新規登録申請者が増加する事が期待されます。住宅業界の事業者も登録・運用を行わなくては損をする仕組み整備する必要がある。

建設キャリアアップシステム(CCUS)事業者登録実績 建設キャリアアップシステムの運営状況について(2024年4月)より 出典

建設キャリアアップシステムの技能者登録実績

技能者登録実績は2024年3月末段階で1,404,843名が登録を行っており、毎月約22,000名程度が新規登録を行っています。2022年現在305万人の方が就業して言われているので2人1人(約50%)の方が、建設キャリアアップシステムの登録を済ませ、日々就業履歴の蓄積を行っております。技能者登録は、事業者登録とは異なり傾聴に登録が進んでおりますが、ここから公共工事に関わる中小企業の登録フェーズに移行するため公共工事に従事する協力会社が新規登録を行いたいと思って頂くための、インパクトのあるインセンティブ整備が必要です。

建設キャリアアップシステム(CCUS)技能者登録実績 建設キャリアアップシステムの運営状況について(2024年4月)より 出典

建設キャリアアップシステムの能力評価実績

建設キャリアアップシステムで最も重要な能力評価ですが、各団体や大手企業が建設キャリアアップシステムへの登録に軸をおいて推進しているため、協力会社や技能者さんに能力評価の重要性が共有できていないことから約95%の方が能力評価を受けておらず、技能レベル1(白)の状態です。 今後、能力評価レベルに応じて公共工事の設計労務単価やゼネコンからの割増賃金、競合他社との 差別化を行うため指標となると思われますが、現段階では残念ながら、協力会社や技能者さんに理解が頂けていない状況です。

カードの種類別ステータス一覧(2024年2月末現在)

現段階だと、能力評価の緩和が働いているので、能力評価レベルを向上させやすい状況にもありますので、是非、能力評価レベルを向上させて頂きたと思います。

建設キャリアアップシステムの現場登録運用実績

現場登録運用実績は2024年3月末段階で累積180,314件の現場で登録、2023年度では65,854件の現場登録が行われ、就業履歴の蓄積環境が整備されました。毎月約6,000件の現場で新規の登録申請が行われています。多いのか、少ないのか比較する対象の数値がないのでわかりにくいですよね。2023年度の公共工事が全国で約22万現場(公共工事前払金保証を受けた現場に限る)、住宅着工戸数が約82戸、民間非住宅の件数不明です。顕在化している現場から比較すると、建設工事全体の約10%以下にとどまることから、建設キャリアアップシステムへの登録申請は行ったが、現場運用は行っていないという元請事業者がほとんどだと感じています。現段階では、コスト負担を強いられるうえに、元請会社が建設キャリアアップシステムの利用したさいのインセンティブが弱いため、一定の強制力が働かないと利用を行わない状況になっているため、インセンティブの強化はもちろんですが、建設キャリアアップシステム利用時の差別化価値基盤整備の具体的事例提供が必要だと思います。

建設キャリアアップシステム(CCUS)現場登録実績 建設キャリアアップシステムの運営状況について(2024年4月)より 出典

建設キャリアアップシステムの就業履歴蓄積実績

就業履歴蓄積実績は2023年度で約53,570,000回の記録蓄積でした。技能者一人当たりで計算すると、年38回、月3回となります。業界の就業日数が25日/の場合で計算した場合は、登録技能者の約10%(約18万人)の方しか建設キャリアアップシステムを利用出来ていない事になります。登録申請後はまったく機能できていないという厳しい状況です。いち早く、元請会社そして下請会社が率先して利用を行うための仕組整備が必要です。

建設キャリアアップシステム(CCUS)就業履歴記録蓄積実績 建設キャリアアップシステムの運営状況について(2024年4月)より 出典

まとめ

建設キャリアアップシステムの本格運用がはじまり早5年が経過。建設技能者の2人に1人が登録を終えた事で、建設キャリアアップシステムは登録フェーズから現場運用フェーズに移行。ようやく技能者さんが適正な賃金と待遇を受ける事が出来る環境の基礎が整ってきました。まだまだ課題は山積みですが、1日も早く建設キャリアアップシステムの利用が当たり前になる業界環境整備を行い技能者の方が他の産業に比べても遜色のない賃金と待遇を受けられる業界にしていければと思います。

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建設キャリアアップシステム(CCUS)代行サービス

株式会社FIRSTでは建設キャリアアップシステムの導入・運用サポートを唯一専門で行わせて頂いております。人材の確保が難しい中で、2024年度から労働時間の上限規制でよりアウトプットを下げずに従来の業務量をこなさなくてはいけない今、自分が行わなくてよいノンコア業務は他の人に任せる事が重要だと考えます。そこで人手が足りないと感じている企業さまには株式会社FIRSTが提供する、「建設キャリアアップシステムの導入・運用サポート」がおススメです。是非ご検討ください。

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