2024.01.22

元請会社向け

協力会社向け

建設キャリアアップシステム運用の現実と最適化のための対応

建設事業における能力評価の透明化による賃金・待遇の改善は、建設キャリアアップシステム(CCUS)運用の適正化を通じて達成される。今回はCCUSの運用における現状の課題と、これを改善するための具体的な取り組みについて掘り下げてみましょう。

運用の現状

建設業振興基金が行った最近の調査では、建設キャリアアップシステム(CCUS)を現場運用を行っている現場で適正な運用が行われている現場は50%に満たないことが明らかになりました。この原因は多岐に渡りますが、元請会社がCCUSの運用環境をそもそも整備を出来ていない事は勿論ですが、協力会社の皆さんが現場入場前に行う施工体制登録や作業員登録の未実施であることが大きな原因とされています。施工体制と作業員登録が未実施の状態で技能者がカードタッチを行った場合、就業履歴の登録が行われず、就業履歴の蓄積が行えていないのが現状です。

不適正運用の現実

現に統計データを確認すると月間就業履歴蓄積数(約446万回)、技能者登録者数(約134万人)を除算すると、CCUS登録技能者は1か月に3.3回しか就業履歴を蓄積出来ていない事になります。このことから非常に多くの方がCCUSへの基本情報の登録は行えているが、現場入場毎の施工体制と作業員登録が上手く行えていない事がわかります。また公共発注工事では、CCUSの普及促進を行うためCCUSの活用をした受注者へ成績評定での加点基準を設けている自治体が増加しています。しかし、建設業振興基金によると、加点基準が単なる事業者登録やカードリーダー設置などにとどまり、実施方法も含めて適正運用を確認する観点が希薄な状態であると推察しています。

改善への道

建設業振興基金では公共発注工事のCCUSモデル工事で適正運用を担保するための新たな加点基準や実施方法の採用を提案しています。埼玉県ではCCUSの適正な運用に向け建設業振興基金の提案をともに協議をうえ、2023年12月にCCUSモデル工事の試行要領を改定しました。このアプローチが、都道府県のリーディングモデルとなり公共工事での現場運用が最適化に近づくことが期待されます。この発注者の動きにより公共受注を行う元請会社の運用は着実に進むと思います。しかし技能者が現場でしっかり就業履歴の蓄積が行えるようにするには、専門工事会社と技能者の教育と理解が必要不可欠です。今後CCUSの適切な運用を行うために専門工事会社と技能者へのアプローチについても業界全体で力を入れていく事でCCUSがより身近なモノになっていくと思います。

埼玉県県土整備部「建設キャリアアップシステム(CCUS)活用モデル工事」試行要領 出典

結び

建設業界におけるCCUSの運用最適化は、元請会社と協力会社が双方に主体性をもちCCUSの運用管理を行わなければ実現しません。技能者の賃金・待遇を改善し次世代の担い手を確保するため元請会社や協力会社だけでなく発注者や建設業界業界に係る全体の協力と各段階での教育・啓蒙活動が不可欠です。技術的な側面だけでなく、人間味のある関わり合いによって、建設業界は更なる発展を遂げることができるでしょう。

本日は『建設キャリアアップシステム運用の現実と最適化のための対応』についてお話させて頂きました。最後までご一読頂きありがとうございました。株式会社FIRSTは最新の情報やトピックを中心に、建設事業者さま、建設技能者さまのためのお役立ち情報を定期的にお届けしています。建設キャリアアップシステムの導入・運用についてのお悩みや課題がある場合は、電話またはLINE、問合せフォームからご相談ください。

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