2025.07.30
元請会社向け
協力会社向け
建設キャリアアップシステム(CCUS)義務化へ
建設現場でよく耳にするこの疑問。「建設キャリアアップシステムの利用は義務だよ!」「いや、まだ任意じゃないの?」——そんな声を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。実はこの話、意外と大きな誤解が含まれています。そこで今回は、「建設キャリアアップシステム(CCUS)」の“義務化”にまつわる正しい情報を、わかりやすく解説していきます。
◇このコラムを読んでもらいたい方
・「建設キャリアアップシステム(CCUS)は義務だ」と周囲に伝えたことがある方
・「CCUSは義務だ」と言われて不安や疑問を感じた方
・CCUSの最新の動向や、本当のところを正しく知りたい方
◇このコラムでわかる事
・建設キャリアアップシステム(CCUS)の現在の位置づけと、実際の運用状況
・CCUSを導入していない場合に生じる可能性のあるデメリットやリスク
建設キャリアアップシステムの義務化はいつからはじまった?
国土交通省 建設キャリアアップシステム普及・活用に向けた官民施策パッケージ より 出典
建設キャリアアップシステムの義務化はいつからはじまったのか?気になっている元請事業者や協力会社の方も多いと思います。結論、建設キャリアアップシステムの利用は一部では義務化されていますが、法的には義務化になっておりません。ではなぜこのような情報が建設業界で広まっているのか紐解いていきましょう。事の発端は国土交通大臣による令和5年度(2023年4月)から建設キャリアアップシステムの利用を「あらゆる工事で完全実施(原則義務化)」を発したことにあります。この発表で建設メディアや建設事業者の方が、建設キャリアアップシステムの利用が義務化になると認識し情報が拡散されました。しかし地方公共団体はもちろん、民間発注も一枚岩ではないため令和7年度(2025年7月)までに国土交通省含む地方公共団体や民間発注での義務化は実現していません。
誰にとって建設キャリアアップシステムは義務なのか?
でも一部では義務化されていると言ったじゃないか!確かに言いました。義務化されている一部というのはスーパーゼネコン(5社)の現場になります。(※部署によっても異なるようですが、)スーパーゼネコンでは公共、民間を問わず建設キャリアアップシステムの事業者登録と技能者登録をしていない協力会社は現場に入場を行わせないという取り組みをしているので実質、スーパーゼネコンの仕事を行う協力会社からすれば自社の導入意思によらず、発注者(ゼネコン)から義務化とされているに等しい状況なのが現実です。事実、スーパーゼネコンの現場では、事業者登録と技能者登録を済ませていなかったために現場に入場できなかったという協力会社が続出しています。
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建設キャリアアップシステムの今
そんな建設キャリアアップシステムですが建設業全体での利用はどこまで進んでいるのかもしっかり知っておきましょう。公共工事では、国土交通省の「直轄工事Cランク工事」について45都道府県がモデル工事を実施、地方公共団体は東京都を含む、都道府県発注工事で46都道府県が導入を表明、政令市は全20団体も導入が表明されています。民間工事では、スーパーゼネコンx5社と全国区の準大手ゼネコン47社が民間の大型案件を中心に利用している状態です。近い将来、公共工事では、一早く義務化が国~都道府県~市区町村の流れでスタートすると思います。当初の予定からは義務化にほど遠い状況ではありますが、登録者数も2025年7月現在、技能者登録約170万人、事業者登録約30万社と傾聴に登録が増加しています。しかし建設キャリアアップシステムは登録したら終わりではなく、登録後に現場で就業履歴を蓄積しなければまったく意味をなさないシステムです。ではどれくらいの技能者が現場で就業履歴を登録しているのでしょうか?毎月約500万回の就業履歴が蓄積されているため、登録技能者1人あたり約3回/月になります。結果として技能者による就業履歴はごく一部の現場でのみカードリーダー等の記録設備が整備され、特定の技能者のみが就業履歴を登録しているものと思われます。
国土交通省|都道府県におけるCCUSに係るモデル工事等の状況より出典
建設業振興基金|建設キャリアアップシステムの運営状況について(2025年7月) より出典
建設キャリアアップシステムの目的・意義、協力会社から元請会社へのアクション
建設キャリアアップシステムを通じて就業履歴を蓄積し技能レベルを向上させることで技能者の方の処遇を改善するシステムです。しかし前項のような状況が続くと協力会社や技能者の方は建設キャリアアップシステムの利用メリットをまったく感じることができず、ただお金と手間がかかる本末転倒なシステムになってしまいます。建設キャリアップシステムが技能者の方の処遇を改善するシステムだからこそ、公共発注者や元請会社任せとせず、協力会社サイドからボトムアップで元請会社へ建設キャリアアップシステムの利用する環境整備を強く要請を行う必要があると思います。
CCUSカードリーダー未設置現場向け専用窓口
原則、建設キャリアップシステムの利用は元請会社ありきのため、元請会社にて現場登録やカードリーダー等の記録設備の環境整備が必要になります。協力会社の立場から発注者である元請会社へ現場登録やカードリーダー等の記録設備の環境整備を直接的に要請するのは難しいという協力会社のために、建設キャリアップシステムでは、「CCUSカードリーダー未設置現場向け専用窓口」を設けております。CCUSカードリーダー未設置現場向け専用窓口へ連絡を行うことで建設キャリアアップシステムから元請会社あてに建設キャリアアップシステム利用のお願いをしていただくことが可能です。現場で建設キャリアアップシステムの環境整備が行われていない場合は下記のURLの情報を確認しCCUSカードリーダー未設置現場向け専用窓口情報共有していただければと思います。
CCUSカードリーダー未設置現場向け専用窓口に関する情報はこちら
次項では、建設キャリアップシステムにあたり「元請会社が公共発注者から求められること」と「協力会社が元請会社から求められること」をご説明していきたいと思います。
建設業振興基金|カードリーダー未設置現場向け専用窓口より出典
建設キャリアアップシステム利用にあたり元請会社が公共工事の発注者から求められること
元請会社と発注者に求められることを1つずつ説明していきます。
※現段階は発注者に応じて要求事項が異なります。対象案件の現場説明書や特記仕様書をよくご確認ください。
①事業者登録
建設キャリアップシステムへ事業者情報の登録申請手続きを行い事業者IDの取得を行う。
②技能者登録
元請会社で直接雇用関係があり現場で作業を行う技能者は建設キャリアップシステムへ技能者情報の登録申請手続きを行い技能者IDと建設キャリアアップカードの取得を行う。
③現場・契約情報の登録
対象となる現場の現場情報、契約、工事情報を建設キャリアップシステムへ登録を行い、現場IDの取得を行う。
④施工体制登録・施工体制技能者登録
建設キャリアアップシステム上で現場に入場する予定の協力会社と技能者の登録を行い、就業履歴を蓄積する協力会社と技能者を特定します。
⑤CCUS就業履歴の蓄積環境の整備と就業履歴の蓄積
現場にカードリーダー等の就業履歴蓄積設備の設置を行い、現場に入場するCCUS登録技能者の就業履歴蓄積状況の管理を行います。
⑥CCUS利用状況の報告
発注者にもとめられる要求事項について実施内容をまとめ利用状況の報告書を作成・提出します。国土交通省のCCUS活用モデル工事では要求事項として管理基準値(登録事業者率、登録技能者率、就業履歴蓄積率)を定め計測が求められます。計測数値(*1)の結果をもとに利用に関する良否判定を行います。
*1 発注者が定める計算方法で達成基準値を確認する。
・登録事業者率: CCUS登録事業者の数/下請企業の数
・登録技能者率: CCUS登録技能者の数/技能者の数
・就業履歴蓄積率: 建設キャリアアップカードのカードリーダーへのタッチ等をして工事現場へ入場した技能者の数/工事現場へ入場した技能者の数
公共工事の発注者は以上の6項目について、現場規模等に応じた内容、管理水準を元請会社に求めています。
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建設キャリアアップシステム利用にあたり協力会社が元請会社から求められることを
①事業者登録
建設キャリアップシステムへ事業者情報の登録申請手続きを行い事業者IDの取得。※法人、個人事業主、一人親方問わず登録が必要です。
②技能者登録
現場に入場を行い、作業を行う技能者については建設キャリアップシステムへ技能者情報の登録申請手続きを行い技能者IDと建設キャリアアップカードの取得を行う。よく誤認している元請会社の方も多いので注意事項をお伝えすると建設キャリアアップシステムはあくまでも建設現場で働く技能者(建設職人)が対象です。そのため技術者(現場監督)や、配送運転手、警備員は対象外ですので原則、技能者登録は不要です注意しましょう。
③施工体制登録・施工体制技能者登録
建設キャリアアップシステム上で現場に入場する自社の技能者の登録と下位の協力会社へ施工体制登録の要請を行い、現場の施工体制を整えます。※現場毎に施工体制登録・施工体制技能者登録を行わないと就業履歴の蓄積は行えません。ご注意ください。
④CCUS就業履歴の蓄積
現場入場毎に現場に整備されているカードリーダー等の就業履歴蓄積設備にて就業履歴の蓄積を行います。元請会社に応じて就業履歴蓄積設備が異なる場合があります。(★1)
★1 就業履歴蓄積設備|カードリーダー、QRコード認証、顔認証、電話、スマホGPS等
協力会社は以上の4項目の対応について元請会社から求められます。
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建設キャリアアップシステム(CCUS)は無駄?建設キャリアアップシステム未導入時のデメリット
建設キャリアアップシステムは無駄だ!と感じている人も大変多いのではないでしょうか?利用者の大半の方が元請会社や上位会社からのパワープレーでシステムの説明もなく導入しているため建設キャリアアップシステムの全容把握が行えておらず、システムの有効活用が出来ていない状態です。しかしここでは建設キャリアアップシステムの有効活用術ではなく建設キャリアアップシステムの導入を行わなかった場合のデメリットについて情報をご共有させて頂きます。
▽受注機会の損失リスク
現在、公共工事では、経営事項審査(経審)や入札参加資格、総合評価方式、工事成績評定などで、建設キャリアアップシステム(CCUS)に関連する項目の加点評価が行われています。現時点では、加点の影響は小さいと見られがちですが、これはあくまで“過渡期”にすぎません。
今後は、
・能力評価レベル3以上の技能者を一定割合以上配置して施工
・技能者情報をCCUSで見える化していることを入札要件に追加
といった条件が、総合評価方式などでの加点要素として本格的に導入されていくと予測されています。実際に、こうした方向性について国や自治体が検討を始めています。
さらに民間でも、
・ハウスメーカーが「レベル3以上の技能者が施工した住宅」として品質をPR
・元請が「CCUS登録技能者との取引を優先」する流れが拡大
といった、“技能者の質”を証明する手段としてのCCUS活用が差別化の材料となってきています。
この流れに乗り遅れれば、
・受注競争で不利になる
・発注者・元請会社から選ばれなくなる
といった、“見えにくい機会損失”が今後確実に増加していくことが予測されます。今はまだ「メリットがない」、「加点が小さいから影響も小さい」と考えていても、5年後・10年後にそれが大きな格差につながる可能性があります。未来の受注機会を失わないためにも、今こそCCUS登録・利用が不可欠です。
▽採用難と転職リスクの向上
建設業界では、技能者(従業員)の確保が年々難しくなる中、建設キャリアアップシステム(CCUS)の有無が企業の魅力を左右する時代が近づいています。現在、国や大手ゼネコンを中心に、CCUS登録技能者への待遇改善が進められています。たとえば、
・CCUSに登録している技能者に対して、1日1本のドリンク支給
・能力評価レベルに応じた割増賃金の支給
・利用頻度に応じたポイント制度の検討
など、インセンティブの提供が現実のものとなりつつあります。さらに国土交通省では、分野別・レベル別の年収指標の公開や、公共工事設計労務単価の見直しを進めており、技能者の処遇改善は今後ますます加速していくと見られます。このような動きにより、今後は「CCUSを活用しているか否か」によって、技能者の賃金や待遇に明確な差が生じることが予測されます。求職者にとっても、CCUS未対応の企業=待遇が劣る会社と認識される可能性が高くなり、
・新規採用の難航
・在職中の技能者の流出
といったリスクが予測されます。企業の人材戦略においても、CCUSの導入と活用は“選択”ではなく“必須”の時代に入っています。
建設キャリアアップシステム(CCUS)の対象外の工事はあるのか?
▽工事全般
現状、法律等で定められているわけではないので義務化されているわけではありませんので、公共発注者が利用を要求している現場、元請会社が利用を行う現場が対象の工事になります。そのため発注者や元請会社に応じて対応がことなるため元請会社の現場担当者や協力会社としては逆に手間がかかり面倒だと感じるでしょう。
▽経審
公共工事に携わる元請会社で経審の加点を受けている事業者については経審の加点要件が定められており、加点要件から対象外の工事も明記されています。
CCUSに関する経審の詳しい内容は弊社が寄稿している下記コラムをご確認ください。
建設キャリアップシステムについての経審(経営事項審査)はこちら
経審の加点対象外の工事のみ下記に記載させていただきます。
1つ目、国外工事
建設キャリアアップシステムの活用はあくまでも国内工事を対象としています。そのため現段階では国外工事は建設キャリアアップシステムの活用対象外になります。
2つ目、建設業許可が不要な工事
建設業許可が不要な軽微な工事も対象外とされています。(※500万円未満の工事)
になります。
建設キャリアアップシステム(CCUS)のホームページで最新情報をキャッチアップ
建設キャリアアップシステムホームページ より
建設キャリアアップシステム(CCUS)の最新情報や運用実績は、当コラムはもちろん、建設キャリアアップシステムのホームページの最新情報やCCUS登録事業者、技能者特典情報の随時更新が行われています。そのため建設キャリアアップシステム利用者の方は少なくとも1か月/回程度は最新情報と有益情報のキャッチアップをして頂き、建設キャリアアップシステムの有効活用をして頂ければと思います。
まとめ
建設キャリアアップシステム(CCUS)の義務化については、現在のところ法的な強制力はありません。しかし実際には、スーパーゼネコン現場では事実上の義務化が進行し、公共工事でも国・都道府県・市区町村による導入が拡大中です。現時点での制度上は「任意」でも、経審や入札評価での加点や技能者の待遇改善や採用競争への影響といった側面から、導入・活用しないことによるデメリット=機会損失や人材流出のリスクがすでに顕在化しています。能力評価レベルに応じた技能者の配置やCCUS登録技能者による品質証明とといった流れが加速していくことが予測されることからCCUSはコストではなく、未来の受注と人材確保への投資だと考えていただければと思います。「今はまだ大丈夫」と思っている企業こそ、次の一手が遅れれば致命的な遅れにつながります。
今後も正しい情報をもとに、御社に最適なCCUS活用を進めていただければと思います。
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