2025.09.16
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協力会社向け
現場登録・運用のコツ
【2025.9月最新情報】建設キャリアアップシステムと建退共のデータ自動連携!!!
2025年9月12日から建設キャリアアップシステム(CCUS)に新たな機能を追加されCCUSと建退共のデータ自動連携が実現しました。これにより建設業退職金共済制度(建退共)の電子申請専用サイトとの間で、「自動連携」機能が新たにスタートしました。これにより、これまで元請会社や協力会社が行っていた煩雑な事務手続きやデータ移行作業が大幅に効率化され、現場での事務負担が大幅に軽減されます!今回は、CCUSと建退共のデータ自動連携の内容と方法について解説してきます。
◇このコラムを読んでもらいたい方
・すでにCCUSの現場運用を行っている元請会社で、建退共への申請事務を効率化したい元請会社
・CCUSの就業履歴データを毎月手作業で建退共に転記していて、負担を感じている経理・事務担当者
・「元請一括作業方式」「一次下請一括作業方式」の違いが分からず、困っている元請会社の担当者
・建退共の電子申請方式に切り替えたいが、具体的な流れや必要な手順がわからない元請会社の担当者
◇このコラムでわかる事
・2025年9月12日から開始された CCUSと建退共電子申請の「自動連携」機能 の仕組みとメリット
・旧来の「証紙貼付方式」や「手動連携」との違い
・自動連携を利用する際の 手順の流れ
・「元請一括作業方式」「一次下請一括作業方式」それぞれの役割分担と注意点
CCUSと建退共のデータ連携がうまくいかない方は
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建退共電子申請とは?
建退共の電子申請とは、従来の証紙貼付方式の代わりに「退職金ポイント(電子掛金)」を購入し、CCUSと建退共の電子申請で就労実績を登録し、協力会社の技能者へ掛金を充当する方式です。これにより、証紙の購入・貼付・管理、掛金の納付等の事務業務が効率化につながります。建退共は従来から「証紙貼付方式」が主流であり、2024年3月時点で証紙ベースでの利用が約95%、電子申請が約5%であり電子化が進展していませんでしたが、今回のCCUSの新規機能により建退共の電子化を通じて事務手続きを簡素化し、加入者数増加を狙います。
建退共電子申請の決済と充当
「電子申請方式」の場合、元請会社は退職金ポイント(電子掛金)をペイジーや口座振替で購入を行い、就労実績に応じて月単位で掛金の納付を行います。
建退共の自動連携によるメリット
では、CCUS新機能の「自動連携」によりどのようなメリットが生じるか見ていきましょう。
・事務作業の省力化 |重複入力が不要に。またCCUSの各種データ出力、建退共へのデータ取込みが不要に
・データの正確性向上|CCUSに登録された就労履歴がダイレクトに建退共に反映されるため、データの取違い、間違い、不正防止になります。
・迅速な掛金納付 |事前に購入した退職金ポイントが自動反映されるため充当が迅速に処理される。
CCUSと建退共のデータ連携の歩み
・2021年度~:
「下請個別作業方式」が導入、各協力会社がCCUS就業履歴を取り込み、就労実績を元請会社へ報告。
元請会社にて建退協へ掛け金の納付手続きを行う仕組みスタート。
・2022年8月~:
「一括作業方式」(元請一括・一次下請一括)が運用開始。一次協力会社が傘下のCCUS就業履歴を取得し、就労実績を元請会社へ報告。元請会社にて建退協へ掛け金の納付手続きを行う。
・2025年9月~:
新機能「データ自動連携」が追加!CCUS上で連携設定を行い、CCUSから建退共電子申請サイトへデータが自動的データ連携を実施。連携したデータをもとに元請会社にて建退協へ掛け金の納付手続きを行う。
建退共自動連携の仕組み
CCUS上で建退共の自動連携を行うため電子申請現場設定を行うことで、現場情報を建退共電子申請専用サイトへ自動反映。また就業履歴情報は毎月10日に前月分の就業履歴が自動で連携されます。連携されたデータをもとに元請会社が購入した退職金ポイントが協力会社の技能者へスムーズに掛金に充当されます。
建退共自動連携手続きの具体的な手順
建設業振興基金|概要・操作方法マニュアル(自動連携)より引用
では、建退共自動連携手続きの具体的な手順について従来と新機能を比較してみていきましょう。下記の流れは、元請一括方式を例に記載しております。
従来の「手動連携」の手順
- CCUS:現場情報登録・現場ID取得
- CCUS:建退共連携設定
- CCUS:現場情報のcsvデータ出力
- 建退共:就労ツールへ現場情報取込
- 建退共:就労ツールにて工事情報ファイル作成
- 建退共:電子申請専用サイトへ工事情報ファイルアップデートし現場情報登録完了
- CCUS:就業履歴のcsvデータ出力
- 建退共:就労ツールへ就業履歴データ取込
- 建退共:就労ツールにて就業実績ファイル作成
- 建退共:電子申請専用サイトへ就労実績ファイルアップデートし建退共納付登録完了
といった流れが必要でした。
新機能の「自動連携」の手順
- CCUS:現場情報登録・現場ID取得
- CCUS:建退共連携設定
- 建退共:電子申請専用サイトで工事情報の内容確認・登録し現場情報登録完了
- CCUS:毎月10日に前月分の就業履歴データが連携
- 建退共:電子申請専用サイトへ就業履歴データ取込、就労実績の確認・調整・登録し建退共納付登録完了
比較したことでおわかりいただけたと思いますが、タスク数が半分になったうえ、新機能の「自動連携」で行うタスク内容自体も手間が大幅に削減されています。従来のデータ連携は「証紙貼付方式」よりかえって手間暇がかかっているのでは?と感じましたが、今回の「自動連携」は間違いなく建退共に関する事務の大幅な効率化が望めそうですね。とは言え、データ自動連携をした今でも依然としてCCUSと建退共の電子申請専用サイトの2つのシステムを利用する必要があります。しかし、インターネット上での手続きが可能なため現場技術者から業務を分業化し、公務や経理等事務方の支援をいただくことで現場技術者がコア業務に集中でき生産性向上につながると思いますので是非分業化による業務効率化・生産性向上をご検討いただければと思います。
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まとめ
2025年9月にスタートした CCUSと建退共のデータ自動連携 は、建設業界にとって大きな業務効率化の一歩です。まだ2つのシステムを行き来する必要は残りますが、これまでの「証紙貼付方式」や「手動連携」で煩雑だった事務作業と比較しても手間暇が大幅に削減され、データの正確性やスピードも向上しました。CCUSと建退共の自動連携は、単なるシステム改善にとどまらず、自社内の働き方や事務体制を見直すきっかけになる機能です。これからは「いかに効率化するか」だけでなく、「誰がどの業務を担うのか」を考えることで、現場と事務の双方がよりスムーズに連携できるようになります。制度や仕組みは日々進化しています。今回の新機能をきっかけに、現場の負担を減らし、企業としての生産性を高める体制づくりを一歩進めてみてはいかがでしょうか。

